さまざまな皮膚の症状を診察いたします。
湿疹(赤いブツブツ)、かゆみ、かさつき、痛み、腫れ、膿んでいる、やけど、虫刺され、日焼けによるスキントラブルといった皮膚疾患はもちろん、肌荒れやドライスキン(乾燥肌)につきましてもお気軽にご相談ください。抜け毛や巻き爪など、髪や爪の症状も診察しております。

また、ほくろやできものの診察・検査や、必要に応じて手術も行っております。

主な疾患

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、痒みのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりするのを繰り返す病気です。乳幼児期に発症することが多いのですが、大人になってから発症することもあります。皮膚の大切な役割の一つに、外部からの刺激物の侵入を防ぐ『バリア機能』があります。アトピー性皮膚炎の方の多くが、遺伝子レベルで皮膚のバリア機能に障害があることがわかっています。また、アトピー性皮膚炎の家族歴があったり、気管支喘息・花粉症(アレルギー性鼻炎/結膜炎)といった他のアレルギー性疾患の既往歴があったりと、アトピー素因を持つことが多いとされています。このような遺伝的要素と、環境要因が影響してアトピー性皮膚炎が発症すると考えられています。

アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、アレルギーが生じている時に高値となるIgE抗体や、アトピー性皮膚炎の重症度の指標となるTARCの量を調べるために、血液検査を行うことがあります。また、View39などの特異的IgE抗体検査(特定のものに対するアレルギー検査)を行うことにより、ダニやカビ、ペットなど、どのような悪化因子があるかを確認することも治療に有効です。

近年では、バリア機能が低下している皮膚から食物が入り込むことで食物アレルギーが発症するということがわかってきています。そのため、保湿をしっかり行いバリア機能を補うことが、アトピー性皮膚炎の方にとって非常に重要になります。 保湿に加えて、皮膚の炎症を抑える薬としてステロイド外用薬、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)、JAK阻害剤(コレクチム軟膏)、PDE4阻害剤(モイゼルト軟膏)などを湿疹の治療に使用していきます。かゆみ症状が強い場合には、抗アレルギー剤の内服薬を用います。また、光線療法も有効で、保険適応で比較的安全に行うことが可能です。皮膚を掻く行為は、皮膚にダメージを与えてバリア機能をさらに低下させてしまうだけでなく、痒みを感じる神経繊維が伸びてきてわずかな刺激でも痒みを感じてしまう状態になってしまうという悪循環を引き起こしてしまいます。光線療法は、この伸びてしまった神経繊維を後退させ、痒みを軽減させることが実証されています。 上記の外用薬で十分な効果が得られない中等症〜重症のアトピー性皮膚炎の方には、保険適応となるヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピクセント)の皮下注射、ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体(ミチーガ)の皮下注射による治療、免疫抑制剤等の内服薬による治療も検討します。

じんましん

皮膚の一部が突然、赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなく消えてしまう病気がじんましん(蕁麻疹)です。多くの場合はかゆみを伴いますが、かゆみを伴わないこともあります。個々のミミズ腫れのような発疹は通常は数分〜数時間以内に消失しますが、他の部分に新たな発疹を生じることがあります。じんましんの症状が1か月以内に治るものを急性蕁麻疹、それ以上続くものを慢性蕁麻疹と診断します。

蕁麻疹は、多くの場合が原因不明です。感染症や、疲労・ストレスが関与していると考えられています。その他、食物、薬剤などのアレルギー反応によるもの、寒冷刺激、温熱刺激、日光、発汗、運動などがきっかけとなるものもあります。
問診と特徴的な皮疹によって、診断は容易にできます。必要と考えられる場合には、血液検査を行いアレルギーの原因を同定します。

治療は、原因が判明している場合には原因の除去を行います。蕁麻疹では、ヒスタミンという物質が原因で膨疹(ミミズ腫れ)が生じたり、強いかゆみを伴ったりしています。そのため、治療の第一選択として抗ヒスタミン薬の内服を行います。皮疹が消失している場合でも、再発や悪化を予防するために1週間程度内服することが推奨されます。症状が強い場合には、注射を行う場合もあります。抗ヒスタミン薬で症状が抑えきれない場合には、抗ロイコトリエン薬の内服なども行います。

水虫

白癬菌というカビの一種が皮膚に感染して起こる病気で、足に感染すると足白癬、足の爪に感染すると足爪白癬と呼びます。足白癬は、趾間型、小水疱型、角質増殖型の3種類に分類されます。最も多く見られる趾間型では、足の指の間の皮膚が白くふやけて皮が剥けます。小水疱型では、足の指の付け根や土踏まずなどに水疱ができてかゆみを伴います。角質増殖型では、かかとや足の裏の角質が厚く硬くなります。足爪白癬の場合は、足白癬も患っていることがほとんどです。爪の色が白く濁り爪が分厚くなります。また、爪が脆くなることもあります。

水虫を疑ったら、皮膚または爪の一部を採取して、顕微鏡で白癬菌がいるかを確認します。市販薬や皮膚科で処方された薬を外用していると、菌が見つからず正確に検査ができないため、顕微鏡検査を希望される場合は外用薬を中止し2週間以降に検査を行います。白癬菌は、自宅のお風呂場や、銭湯・ジムのバスマットなどあらゆる場所に存在しています。白癬菌が皮膚に付着してもすぐに水虫になるわけではなく、一般的には24時間以内に洗い流せば感染することはありません。白癬菌が足に付着した状態が続き、靴下やブーツなどの着用で足が蒸れた状態にあると、菌が繁殖しやすく水虫を発症します。

足白癬の治療では、主に外用薬を用います。症状がない部分にも菌が潜んでいるため、足全体に広く外用することがポイントです。また、症状がよくなっても、すぐに外用を止めると再発しやすいため、少し長めに外用することも大切です。
足爪白癬の治療では、爪に浸透力の高い外用薬を用いるか、内服薬を処方します。患者様の年齢や症状を考慮して治療方法を決めていきます。

帯状疱疹

顔や体の左右のどちらか片側に、神経に沿って帯状に痛みや皮疹を生じる病気です。最初は皮膚がぴりぴりするような痛みを感じ、その後時間の経過とともに赤みが出てきたり水疱が出てきたりするようになります。水ぼうそう(水疱瘡)の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。過去に水ぼうそうに罹ったことのある方は、このウイルスが体の中に潜んでいます。加齢やストレス、過労などで体の免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化して発症します。最近では、新型コロナウイルスワクチンを接種することで免疫系に影響が及び、若い人でも帯状疱疹を発症することが多くなっていると考えられています。

治療は、抗ウイルス薬の内服と、痛みに対して鎮痛剤の内服を行います。通常は、1週間の内服で皮疹や痛みの症状は治まります。しかし、治療の開始が遅れた場合や高齢者が発症した場合には、神経の痛みが数ヶ月から数年にわたり続くことがあります。これは帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、内服薬で痛みの治療を行なっていきます。痛みが非常に強い場合には、ペインクリニックを紹介させていただきます。帯状疱疹後神経痛に移行させないためにも、帯状疱疹は早期の治療介入がとても大切です。

このような帯状疱疹における急性期の痛みや帯状疱疹後神経痛を総称して、帯状疱疹関連痛(ZAP:Zoster-Associated Pain)と呼びます。帯状疱疹や帯状疱関連痛の発症リスクは高齢になる程高まります。50歳以上の方では、帯状疱疹を予防するための帯状疱疹ワクチンを摂取することが可能です。帯状疱疹ワクチンを接種すると、病気の発症や重症化を抑えることができます。
当院では、予防効果の高い不活化ワクチン(シングリックス)の接種を行なっています。

シングリックス(予防ワクチン)
1回目 20,000円(税込22,000円)
2回目 20,000円(税込22,000円)

ヘルペス

ヘルペス(単純ヘルペス)とは、単純ヘルペスウイルス1型または2型による感染症の総称で、一般的なものとして口唇ヘルペスと性器ヘルペスがあります。口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの1型が、性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの2型が主な原因となっています。一度感染すると、ウイルスは神経節と呼ばれる部分に潜伏します。ストレスや過労で免疫力が下がったり、紫外線を浴びたりすることを契機にウイルスが再活性化して繰り返し再発します。
症状は、ピリピリとした痛みや違和感を感じるなどの予兆の後、水疱が生じてきます。

治療では基本的には抗ウイルス薬の内服を行います。発症から治療開始までの期間が短いほど治療効果が期待でき、再発頻度の低下に繋がると考えられています。ヘルペスを繰り返している多くの方は、発症前の予兆を自覚していることが多く、その場合にはPIT(Patient Initiated Therapy)という治療法が有効です。保険適応で、再発に備えてあらかじめ医療機関で処方することが可能ですので、ご希望の方はご相談ください。

多汗症

異常な量の汗をかく病気のことを多汗症と言います。多汗症には、腋や手のひら(手掌)など体の一部に汗が増える局所性多汗症と、全身の汗が増加する全身性多汗症があります。汗を大量にかくため、日常生活に支障が出たり、精神的な負担がかかったりすることも少なくありません。

全身性多汗症のうち、甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫、感染症、更年期、低血糖など、原因が特定できるものを続発性全身性多汗症と呼び、必要に応じて血液検査を行い原因検索します。原因が特定できないものを原発性多汗症といい、局所性多汗症の多くは原発性の頻度が多いとされています。原発性局所性多汗症では自律神経の調整不全が原因と考えられています。また、家族内発症のケースも多く、遺伝的要素も関与しているといわれています。多汗症では、精神的ストレスや緊張が悪化因子となります。

治療は、続発性多汗症の場合で原因が明らかになっている場合には、その病気の治療を行います。原発性局所多汗症のうち、原発性腋窩多汗症については、近年保険適応でエクロックゲル、ラピフォートワイプの処方が可能となりました。ボツリヌス毒素局所注射療法(一部保険適応)も有効です。また、腋窩や手掌の多汗症に対して、プロ・バンサインの内服薬の処方(保険適応)や塩化アルミニウムの外用(保険適応外)も有効です。

円形脱毛症

髪の毛の一部が、円形または楕円形に突然抜け落ちてしまい、脱毛斑(髪の毛が生えない部分)を生じる病気が円形脱毛症です。一般的には、10円玉くらいの大きさの脱毛斑を生じることが多いのですが、徐々に脱毛の範囲が広がったり、別の場所にも脱毛斑が現れたり、眉毛やまつ毛、体毛など全身に及ぶこともあり、重症度は様々です。

原因は、髪の毛が生えている毛包と呼ばれる部分が、自分の体のリンパ球によって攻撃を受けることで、髪の毛が抜け落ちてしまうと考えられています。アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や、甲状腺機能低下症などの自己免疫疾患を合併している場合もあります。遺伝的要因のほかに、感染症や精神的ストレスが関与しているとも言われていますが、実際には明らかな誘因がないことも多く、毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。

治療では、ステロイドやカルプロニウム塩化物水和物(フロジン外用液)などの外用薬や、グリチルリチン、セファランチン、抗ヒスタミン薬などの内服薬を処方します。また、リンパ球の毛包への攻撃を弱めるため、光線療法、液体窒素療法を行なったり、ステロイドの局所注射を行うこともあります。脱毛が急速に進行している場合には、必要に応じてステロイドの内服(パルス療法)を行うことができる病院をご紹介させていただきます。